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※2014年11月29日(土)連合会館で行われた、アジア太平洋資料センター(PARC)主催の『徹底解剖!国家戦略特区―私たちの暮らしはどうなる?』出版記念 特別講演&交流パーティからの報告です。

※『徹底解剖!国家戦略特区―私たちの暮らしはどうなる?』はこちらから
http://www.commonsonline.co.jp/kokka.html

 

「国家戦略特区の狙いは、国民の見えないところで規制緩和できる仕組みを作ること」

奈須りえ(前・大田区議会議員、市民政策アナリスト)

「国家戦略特区」は、国家戦略特区として始まったのではなく、「構造改革特区」という小泉政権のときに始まった制度です。それが「総合特区」、そして国家戦略特区へとバージョンアップしている。言ってみれば小さく産んで大きく育てたと。当初は、一国二制度(一国の中に、政治制度・経済 制度の根本的に異なる地域が複数ある状態)や法の下の平等という観点から、一つの国の中で特別な制度を地域で設けるというのは許されないとされていた。でも地方分権を進めるからとか、法の主旨の範囲でちょっとだけだからと言って、構造改革特区というものを作ってしまったんです。

最初は、「税財政措置」、つまり減税したり補助金を出したりすることはやめましょうと言っていました。これが総合特区になったときに、なぜか国会議員の人たちはみんな勘違いをしてしまった。震災の復興で被災地に特別な支援をしなければならないと議論しているときに、この総合特区の議論にすり替え、被災地に補助してちゃんと復興してもらえるようにと、地域で減税したり補助金を出したりすることを「特区」の中でいいことにしてしまったんです。それが国家戦略特区になると、今度は地域で色々なことを決めるのを、国の制度についてまで、あれこれ指図できる制度を作ってしまいました。

じつは大田区は、いち早く特区というものに取り組んできているんです。何をしようしたのかというと、総合特区という制度を使って空港の跡地の土地の取得を、財務省から限定してもらおうということで、区長が箱物を作ろうとしました。また無駄な公共事業をするかと思い、私は羽田空港対策特別委員会の委員を希望し、跡地で何が起きるのかをずっと追いかけました。そうすると、総合特区の素案のなかで見えてきたのは、国際的ビジネス環境の整備、グローバル化といった言葉が出てきていて、中で行われているのは規制緩和なわけです。これはTPPに似ているなと思うようになり、詳しく調べていきました。

よく規制緩和というと、いいことのように思われ、「特区では規制を自由にするんですよ」ととられて、なかなか共通の理解が得られません。日本は法治国家の国です。解釈改憲なんかされてしまうと、「本当に法治国家なのか?」と思うわけですが。ですから、日本は何かルールを作るときは法律を作らなければなりません。規制というのは法律で決められている。だから規制をなくすということは、法律をなくすことと同じなんです。法律をなくすということは、無法地帯になることを意味します。つまり弱肉強食の社会ですよね。
小泉構造改革以来、色々な規制緩和がされてきました。結果として格差が拡大しているのも、この規制緩和に原因があるのではないかということはお分かりいただけると思います。もちろん、時代に合わなくなった規制もありますが、何でもかんでも規制がないほうがいいというのが今のアベノミクスですから、それはちょっとおかしいんじゃないかと、私たちは警戒しなければなりません。

アベノミクスは、すべての規制を悪者にして、今後2年以内に全部取り払おうとしています。第一の矢が金融政策、第二の矢が財政政策、第三の矢が規制緩和、この国家戦略特区というのが目玉と言われています。第一の矢も第二の矢も大したことはなくて、第三の矢が本丸なのだと官僚も言っているわけです。規制緩和というものに、私たちはもっと注目しなくてはいけません。

でもそうは言っても、「財政が厳しいんだから仕方ないんじゃないか?」「民間にお任せして安いコストでやってもらったほうがいいんじゃないか?」と言う人がいます。私は大田区議会議員を10年ぐらいやりました。2003年、小泉内閣がスタートした頃に議員になり、一般会計の財政規模を調べてみたんです。2003年に1,800億円規模だった一般会計規模が、2014年度いくらになったかと言うと、2,400億円に増えているんです。

この間、どうなったかというと、大田区は保育園を民営化で民間委託しました。大田区立の公立幼稚園はすべて廃園にしました。指定管理者制度といって、大田区にある公園やプールなども、指定管理者が管理しているところがたくさんあります。図書館については中央館を除いてすべて民間事業者に委託しています。特別養護老人ホームも先日、区立から民立に変えたんですね。ですから、民営化や民間委託というのがかなり進んでいます。だとすれば、財政規模が小さくなっていてもいいはずなのに、1,800億円から24,00億円と、3割以上増えている。ここでみなさん、おかしいと思いませんか?

もっとびっくりするのが、そうは言っても高齢化社会で、女性が働く社会にもなってきたし、保育園や老人ホームを作るのも大変だよねと。ではどのぐらい進んだかと見てみると、大田区の場合は今年の4月で保育園の待機児520人、老人ホームの待機者も1,500人を超えています。じつは、このように規制緩和を積極的に進めきても、自治体の財政課題は解決できていないわけです。

さらに、規制緩和は進みましたが、ある一定程度のところでこれ以上進まなくなってきました。どうしてかというと、私たちの命に関わる分野が出てきたからです。例えば医療や雇用の問題、学校教育、水道事業などのように、本当に民営化していいのだろうかという分野について、民営化や民間委託、規制緩和にぶち当たります。私たちは、労働規制について緩和するといわれたら警戒しますし、学校教育が株式会社で運営されるようになるといわれたら問題だと思うかもしれません。ですが、特区による規制緩和の何がメリットかというと、「国家戦略特区法を作ります」と言われても、何をするのかまずわかりませんよね? ですから何よりも一番の狙いは、国民の見えないところの議論で規制緩和ができる仕組みを作ることだったのではないかと、私は見ています。

結局、規制緩和についての責任が誰に与えられているのかといえば、国家戦略特区諮問会議。これは規制緩和によってメリットを受けるということを推進しようとしている推進派の会議です。なぜ推進派によって作られているかというと、議長である内閣総理大臣が決を取ることになったときに、国家戦略特区の民間議員と呼ばれる人たちが半分以上になる、そういう会議構成になっているわけです。ここで大きな方針や区域の指定などを決めています。

もう一つ、特区に指定された各区域についての計画は区域会議で行われますが、これも特区によって事業を行って利益を上げられる人たちで構成されています。こういうのを「おても」というんですよ。利益を得ようとする人たちが自分たちで、何をどんな風に規制緩和できるのかを決められる会議体を作って、この2つの会議体で特区の制度は進みます。

とりあえず試験的にやって1年経って効果があったら全国展開という仕組みになっているわけです。それでまずは6地域が特区に指定されています。東京圏では東京都、神奈川県、千葉県成田市、関西圏では大阪府、兵庫県、京都府など、かなり大きな都市のほか、さらに養父市という人口2万6千人のかなり小さな市まで指定されています。広さも自治体としての形式もまちまちで、複数の都府県に渡っていたりと、地域指定は非常に恣意的です。

新潟市であれば農業、関西であれば医療であったり、養父市の場合ではシルバー人材センターという仕組みを使って高齢者が最低賃金以下で働ける仕組みを作ろうとしています。東京の場合は何でも入っていますので、私は「何でも特区」と名付けています。福岡の場合は移民の受け入れです。安い労働力ということで拡大しようとしています。雇用規制についての緩和と、それにプラスして移民を安い労働力という、経済的な側面だけで、社会保障をどうするのかは検討されずに受け入れが行われれば、混乱が予想されます。沖縄についてはカジノなどに取り組むのではないかと言われています。

これらの特区で、日本のGDPの約半分を占めています。特区というのは普通、開発途上国の経済底上げの事業のために使われることが多いわけですが、日本の場合には首都東京が特区になっているというところも、おかしいのではないかと思います。特区という制度を使って、こっそりと規制緩和をしようとしているのではないかというところが見てとれるわけです。

東京の中には9区ありますが、追加で指定されそうなので、ほぼ東京全域になるのではないかと思います。このように区域でどんどん規制緩和を突破口的に行うことについて、竹中平蔵氏は「ミニ独立政府ができた」と言っているわけです。私たちが選挙で選んだ議員が、私たちの思い通りには動かないということにもイライラするところですが、選挙でさえ選ばれていない人たちが、私たちの大切な仕組みを作ってしまうことになるわけです。このような特区の問題について、一人でも多くの方に知っていただいて、この危険性について声を出していかなければならないと感じています。

 

「国家戦略特区によって、憲法に定められた“住民自治”が無視される」

新里宏二(弁護士、日弁連多重債務問題WT座長)

特区にはマジックがあります。じつは憲法95条は、「特別法の住民投票」を定めています。これは「一つの地方自治体に適用される法律については、国の議決だけでなくその地方自治体の住民投票が必要である」ということです。

たとえば宮城県では漁業特区の問題があります。復興に基づく特区を作って、漁業権を規制緩和して民間企業を誘致しようとしています。もし宮城県の中で漁業特区を作ろうとしたら、本当は憲法95条が適用になって住民投票をしなければならないはずなんです。ところが、特区でやると、いらなくなるんですね。そうすると、地元の漁協は、反対しても当事者能力がない。地元のなかでは大変な反対運動がある。ところが最後、ねじ伏せられてしまう。それに対する法的なすべがなくなってしまう。つまり住民が無視されていてもきちんと進んでしまうというのが、一番の問題です。

ただ、被災地で住民が無視されているばかりなのかと言うと、必ずしもそういうわけではありません。延べ380km、最大14mの防潮堤を作る計画に対して、反対が非常に多いのに止められない状況でしたが、大きな反対の声があって、少しずつ見直しの声が上がっているのが現状です。

国家戦略特区は、このように地方の「住民自治」に重大な影響を及ぼします。きちんと理解して、アベノミクス、戦略特区の問題点を共有していかなければなりません。

 

「地域自給圏を作り、“脱国家”を進めなければならない」

大野和興(農業ジャーナリスト)

 人と土地の関係は人類の歴史そのものだと考えています。国家と言うのは、親の敵みたいなものですね。成田闘争、神岡鉱山の闘争、減反反対闘争、すべての敵が国家でした。新自由主義、グローバル化によって国家は縮小していくかと思っていましたが、権力としてはむしろ強くなってきていうように思います。

国家の現実と、人と歴史と権利に対する闘いのなかで、国家戦略特区なるものを考えると、「脱国家」を考えなければならないでしょう。「TPPに反対する人々の運動」の菅野芳秀代表は、山形県の置賜で地域自給圏を作ろうとしている。食料の自給、農、エネルギー、森、人、あるいは文化の自給ということまで含めた一つの地域形成をし、その中で循環し、関係がつながり、所得もつながっていくような地域を作り上げると。そうすることで、国家を相対化できるのではないかと思います。様々な民衆による脱国家を進め、もう一つの道を作りださなければなりません。

 

「労働者を守る法律が、特区で“底抜け”にされようとしている」

東海林智(毎日新聞社会部記者)

規制緩和というと、いいもののように受け取られています。既得権にぶら下がっているやつらを懲らしめるんだということと結びついて、いい印象になっているのではないでしょうか。ですが、そんなことはありません。

たとえば労働の分野では、特区に連なる安倍政権が設けた様々な成長戦略会議、規制改革会議などで言われている内容は、労働法が社会法としてできたという概念をまったく理解していない言葉のもてあそび方なんです。

代表的なのは、民法における契約の自由があるんだから労働法にもそのまま移せというような乱暴なことを言うわけです。契約の自由においても力関係があまりにも違うから、弱い労働者を守るために社会法として労働法ができてきたという成り立ちをすっかり省いて、そこに規制があって経済活動がしにくいから、その規制を外せという理屈になっている。これは社会法である労働法の歴史を知らない人々にの言い分であって、まったくお話になりません。

でも結局これが、特区に貫徹されている考え方です。雇用分野における規制緩和というのは、労働者の保護ルールをなくせ、ボロボロにするんだ、ということがストレートに打ち出されている。社会法としての労働法はいらないという視点に立った考え方というのが戦略特区のアイデアです。

しかし、ここで予想外のことが起きました。厚生労働省が猛反発したわけです。田村憲久前厚生労働大臣は、派遣労働法の改悪以外の労働問題については、非常にまともだったと思います。戦略特区においては非常に理念的な形で体を張りました。なぜそこまで反発したかといえば、労働基準法という働くうえでの最低基準を定めた法律そのものを、底抜けさせるような特区を作らせるわけにはいかないからです。底が抜けたらもうおしまいですよ。厚労省は「こんなの無理だ」と押し返した。結果、残った特区の内容は弱い部分になりました。

そもそも、そうした最低基準さえ底に穴をあけるような、いい加減な考えで特区が進んでいたわけです。裏を返せば、政府がどうしたいのか、何がしたいのかがあからさまになったと言えます。特区でやりたいことというのは、その先、全てにおいてやりたいことなわけです。

そのなかで、安倍政権が偉そうに言っている政策の矛盾が見えてきました。限定正社員という制度を法改正必要ないので広げたいと言っています。確かに、これまでの非正規労働者が限定正社員となれば、期間の定めがなくなるわけで、ある意味ではいいことかもしれません。安倍首相は、「限定正社員は、正社員と非正規労働者のあまりに開いた格差を埋めるために、真ん中に限定正社員という新しい層を作る」と説明しました。これで正規、非正規の問題が解決するならいい話です。

では「限定正社員になるのは誰ですか?」と聞くと、「基本的に非正規雇用からステップアップする人です」と言いました。では「ステップアップする人とは誰ですか?」と聞くと、2013年の春に施行された労働契約法で、非正規労働者で契約を更新して同じところで5年以上働いたら6年目に入った時に無期転換、期間の定めがない契約に変わるという、「無期転換権を使って限定正社員にします」と言ったわけです。これで非正規の問題は解決できると。

しかし、国家戦略特区に出された限定正社員や非正規社員に関する文案は、5年で無期転換する権利を無効化すると言っているんです。5年以上働いても、戦略特区では無期契約にさせない、ずっと非正規のままですよと。政府の狙いはまさにそこにあるわけです。限定正社員とか美しい言葉を使いながら、そんなことは全然考えていなくて、非正規はそのまま放っておくわけで、問題を解決しようなんて思っていないんです。

そういう形で非正規は非正規のまま使い、限定正社員という新たなカテゴリーを作って首を切りやすくすると同時に、限定正社員とは時間や職種や地域について契約のなかに限定がある人を指す、だから限定正社員でない社員は「無限定正社員」だと言った。

労基法もありますから、そんなものは日本に存在しません、何の制限もない労働者なんてないのに、「無限定正社員」なんていう言葉をポロッと使ってしまった。限定正社員として解雇しやすい労働者群を作り、限定正社員でない労働者群はホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制適用免除制度)で、労働規制時間をなしにしようという構図が見えてきたわけです。それがはっきり見えてきたのが国家戦略特区です。

 

「TPPと国家戦略特区は、新自由主義から生まれた“双子”である」

内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)

TPPと国家戦略特区は、新自由主義の中の“双子”だと考えています。国内の様々な分野の規制緩和というのは、TPPの先取りであるという言われ方がされますが、私自身は、先取りとは取れない部分がどうしてもあります。
私たちの暮らしというものを突き詰めていくと、外側からはTPPのような自由貿易協定、つまり関税をすべて取っ払い、それぞれの国の法律や規制も壊してグローバルに活動する企業がビジネスしやすいように変えるという、いのちや暮らしそのものが市場化されるという波があります。

一方で内側、つまり日本の中から、曲がりなりにも私たちが選んだ(ことになっている)政府が、自ら進んで自分たちの社会や歴史に基づいて決めてきた制度や文化を壊せと言っている。ですから外側と内側の両方から、自由化、市場化が起きてきている。必ずしも、どちらが先かということではなく、一つの巨大なプロジェクトとして見えてきます。

私はずっとTPPのことを追ってきましたが、日本が交渉に参加したのが2013年7月でした。その後、2013年9月にアベノミクス第三の矢ということで、日本再興戦略が勃興しました。「Japan is back」と。これが閣議決定され、国家戦略特区がアベノミクスの成長戦略である第三の矢の重要な柱として打ち出されたわけです。

よく見ていくと、まさにTPPで進められているのと同じような内容だということがわかりました。TPPというのは関税の交渉もしていますがそれは少しの分野でしかなく、多くは非関税分野の話で、投資や労働、金融、貿易のルールを決めている交渉なんです。じつはそちらのほうが、私たちの生活の隅々まで関係してくることです。

なぜTPPと国家戦略特区が同じなのかと言えば、すでにグローバル企業は国境を超えて活動していますし、今以上に活動しようとしている。ですから国の規制というのは邪魔で、それを取っ払おうというわけです。

アメリカの通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行は、2013年11月来日時にこのようにコメントしています。「TPPの非関税分野の議論は、ほとんどすべて安倍首相の3本目の矢の構造改革プログラムに入っている」と明言しているんです。また、「TPP交渉のうち焦点となっている非関税分野においての米国のゴールと、アベノミクスの第三の矢は完全に一致している」とも述べています。

国家戦略特区というのは、アベノミクスの一番の目玉と言われています。「世界で一番ビジネスがしやすい国にする」ために作るわけですから、めざすところは本当に同じだと言うことです。問題なのは、私たちが気づく前に、USTRに指摘されているという皮肉です。さらに言えば、マスメディアはカトラーのコメントを引用して「カトラーさんお墨付きのアベノミクスなんだ」と意気揚々に語って、アベノミクスを肯定しました。とんでもない皮肉な話です。

私たちはこれからどうしたらいいかということですが、衆院解散で選挙となりました。11月23日、安倍首相は北海道に行ったそうですが、そこでアベノミクスについて述べ、「地方にも必ず暖かい風が吹く。みなさん安心してください」と言い、TPPに関しては一切発言しなかったそうです。聴いていた方は、さすがに怒る方がたくさんいたそうです。

私はこの問題を追って北海道にもたくさん行きましたし、農家の方の悲痛な声をたくさん聞いてきました。嘘をついてTPP交渉に入っている自民党が、北海道という一番打撃を受ける地域で、そのことは何もなかったかのように振る舞うというのは、本当に許せません。実際、地方にはアベノミクスの恩恵は行っていないわけです。さらにそこで暖かい風が吹くなどという嘘をつくのは許せないことだと思っています。選挙ではTPPや国家戦略特区以外のことでも、安倍政権に審判を下さなければならないと思います。

市民側も、情報を収集したり、官僚や国会議員がやっていることをチェックしたり、いいことをやらせるという働きかけが絶対的に必要だと思っています。これは、TPP交渉に反対している各国の市民グループの調査、ロビー、分析から学んでいるところです。TPP秘密交渉というのが凄まじいというのは、みなさんご存知の通りですが、何ができるかといえば、まずは一生懸命情報を収集して発信することです。また国家戦略特区については区域会議といって、具体的なプランがちょうど進んでいる最中です。全部固まってからでは遅いと焦っています。監視してものを言っていくのはまさに今。早急に市民による監視ネットワークチームを作り、情報を発信していきたいと思っています。

今年の3月に東京都の国家戦略特区の担当に電話をかけて、説明に来てくださいとお願いしたり、都民に説明しているんですかと色々聞いてみたところ、来てもくれないし、情報も大してくれないということはわかったんですが、「そういう問い合わせがあったのは初めてです」と言われたんですね。これだけの人口がいる東京都で、誰も直接東京都の担当部署に何か言ったり、聞こうとしなかったのは驚きでした。ですから、私たちはちっぽけな市民一人一人であっても、できることはあると思っています。