日本を代表する経済学者の宇沢弘文東大名誉教授が9月18日に亡くなり、11月16日に都内で偲ぶ会が開催されました。

宇沢先生は偉大な経済学者であり、まさに「偉人」でありました。同時に、トレードマークの白ひげとはじけるような笑顔に、誰もがその大きな人間性の魅力の虜となりました。

「経済学だけでは人間は幸せにならない」と市場原理を優先する現代社会を批判してきた先生は、TPPの話となれば目をキラリと光らせ、シカゴ大時代に激論を交わしたノーベル経済学者、フリードマンの唱える新自由主義(グローバリゼーション)がいかに世界を駄目にしてきたかを、矢継ぎ早に話し始めたものです。

晩年は「TPPは社会的共通資本を破壊する」「農業や医療、教育、環境、水、空気――これらは新自由主義による市場原理型の利益追求をしてはならない」と唱え、「TPPを考える国民会議」の代表世話人にも就任していただきました。

ご病気になられてからも、日本のこれからを絶えず心配され、この「TPP交渉差止・違憲訴訟」にも賛同いただきました。そして亡くなる3日前には、死線をさまよいながらも、妻の浩子さんの代筆で「訴訟の会の呼びかけ人になる」と一通のはがきを送ってくれたのです。

最後の遺志として、TPP阻止運動に全てをかけてくれた先生は、まさにTPP阻止の要であります。我々は宇沢先生の遺志を継いで、ともに闘っていかなければと強く思います。
この場をお借りして、謹んでご冥福をお祈りいたします。

「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」設立準備会 幹事長
山田 正彦(元農林水産大臣)

※添付記事:2014年10月15日『毎日新聞』夕刊

2014年10月15日毎日新聞_宇沢弘文