TPP阻止国民会議からの翻訳記事情報です。
http://tpp.main.jp/home/
日本の通貨政策(円安操作)によって2013年には米国労働者の896,000人もの雇用が失われ、TPPに通貨操作条項を含めることが不可欠になっていると、2月4日発表の新しいリポートが述べているとの情報です。
新報告書:米国の対日貿易赤字は、TPPに通貨条項が必要であることを示す
The Hill紙
ヴィッキ・ニーダム
2015年2月4日
http://thehill.com/policy/finance/231736-us-japan-trade-deficit-signal-of-need-for-currency-provisions-in-tpp
日本の通貨政策によって2013年には米国労働者の896,000人もの雇用が失われ、TPP:アジア・太平洋貿易協定が通貨操作条項を含めることが不可欠になっていると、水曜日(2月4日)発表の新しいリポートが述べた。
日本がおこなった通貨操作は対日貿易赤字が2013年に783億ドルになった最大の原因であったと、経済政策研究所(EPI)のロバート・スコット貿易・製造業政策調査研究部長は述べている。
スコット氏は、赤字が増大しているため12か国の環太平洋経済パートナーシップ(TPP)は日本などの国々による通貨操作に取り組む手立てを含めるべきだと主張する。
この新リポートは米国議会の議員から、グローバルな貿易上の強みを得るために各国における通貨操作を特定し、それに対処するための枠組みをつくるような条項をTPPに加えるようにとの要求が一斉に上がるなか、発表されたものである。
上院財政委員会委員のデビー・ステイブナウ(Debbie Stabenow)上院議員(民主党・ミシガン州選出)は、日本を含むTPPに通貨についての文言を加えるようにとオバマ政権に求めている数十人の議員のひとりである。
これは党派を超えた問題である。共和党議員も民主党議員も上下両院において、一部の国々は米国の雇用を犠牲にして貿易上の利点を得ている、と言っている。
ステイブナウ議員は水曜日(2月4日)報道陣にたいし、将来の貿易協定では、特別条項をつうじてこの問題に対処していくことについて、オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領、ジャック・ルー財務長官、マイケル・フロマン通商代表に話をしたと語った。
ステイブナウ議員は、一部の国が通貨を過小評価して米国の企業を傷めつけているので、地元ミシガン州の自動車製造産業は引き続きその代償を払っているのだとのべた。
「自動車産業と製造業の話となると私は、わが国の労働者に機会を与えないような貿易協定を推し進めることはひじょうに心配です」と同議員は語った。
EPIのリポートは主として自動車および自動車部品産業に対する影響に焦点を当てているが、同時に、ステイブナウ議員の州(ミシガン)はこれまで日本の通貨価格変動によって最も打撃をこうむってきたことを明らかにしている。
ステイブナウ議員は、貿易促進権限法(TPA)案にその文言を含めることでは事足りず、TPP協定そのものにも通貨条項を入れなければならないとものべた。
しかし先週、大統領とマイケル・フロマン通商代表は、通貨条項はTPPに盛り込まれない見通しだとのべた。
オバマ大統領は先週、フィラデルフィアで下院民主党議員の求めに応じて語り、TPPに通貨条項を加えるというのは余りにも複雑で実際的でないと述べたと、ある議員がHill紙に語った。
フロマン氏は問題をル―財務長官にゆだねている。
ステイブナウ議員は、まだ具体的なことは承知していないが、ホワイトハウスから何らかの提案がなされるかもしれないと考えているとのべた。
同議員は、TPA:貿易促進権限法案とTPP協定が議会で承認されることを望んでいる人たちは、通貨操作を問題にすることを検討しなければならなくなるとのべた。
米国と日本は自動車と農産物の市場アクセス拡大についての取り決め合意に向けて並行して取り組んでいる。
EPIのリポートは、日本以外にも同じくTPPに参加するマレーシア、シンガポールも通貨問題を起こしていると述べている。
同リポートは、米国は日本及び他のTPP10カ国との貿易赤字が大きく、膨らみつつあり、1997年の1,103億ドルだったのが2014年には推定2,617億ドルに増大したと論じている。
米国の50州とワシントンDC(コロンビア特別区)のそれぞれで、2013年の対日貿易赤字のために雇用が減少したと、リポートはのべている。
全体として、日本を含む途上国、発達した国の約20か国における通貨操作をなくすことによって、米国の貿易赤字を各年2,000億ドル~5,000億ドル減らし、米国で230万~580万の雇用を生み出すことができるはずだとリポートはのべている。
通貨操作法案議会に2月10日提出へ
2/9/15 3:33 PM EST
米上下両院で多くの議員が10日、通貨操作をおこなっている国々からのモノ物品に対して対抗関税をかけることを米製造業が求めることができるような超党派立法を提案する予定である。
上院のシェロッド・ブラウン(Sherrod Broan)、ジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)、リンジー・グラム(Lindsey Graham)、デビー・ステイブナウ(Debbie Stabenow)議員は「2015年通貨為替レート監視改革法」(the Currency Exchange Rate Oversight Reform Act of 2015)と題する法案の提案を説明するため、正午の記者会見を予定しているが、同法案は2011年に上院が可決した法案の短縮版であると、側近が語った。
一方、ミシガン州選出で下院歳入委員会の民主党メンバーのトップであるサンダ―・レビン(Sander Levin)下院議員は、ペンシルベニア州選出で共和党のティム・マーフィー(Tim Murphy)議員、オハイオ州選出で民主党のティム・ライヤン議員(Tim Ryan)アラバマ州選出で共和党のモ・ブルックス(Mo Brooks)議員といっしょに別途、通貨法案を提出する構えである。
下院はかつて2010年に通貨立法を可決したが、その1年後に上院に提案された法案のように、議会のもう一つの院で承認されなかった。
この新たな行動は、多くの議員が政権にたいして通貨操作に対する規制ルールを、提案されている日本とアジア10カ国とのTPP:環太平洋パートナーシップ協定に含めるよう求めるなかでとられている。
財務省高官は、対抗関税を利用して通貨操作を無くす一方的な動きは、市場に即した為替レートにしていくよう諸国を説得するのをより難しくしているとのべた。
通貨問題にたいする関心は今年、議会がTPA:「貿易促進権限」について表決をおこなうことを予想してもちあがってきた。同権限法はホワイトハウスが通商協定を議会に提出し、修正なしに賛成・反対の採決にかけることができるようにするものである。
上院財政委員会のオリン・ハッチOrrin Hatch委員長、下院歳入委員会のポール・ライヤンPaul Ryan.委員長、民主党で財政問題のトップであるロン・ワイデン上院議員は、2月23日に始まる週にも法案を提出し、交渉で残った問題の詳細をかたづけようとしている。
通貨条項に関する首藤事務局長コメント(TPP阻止国民会議)
2015年2月10日
「オバマ政権に遺された任期の中で、そして今年後半からスタートする次期大統領選挙活動の前に、何としてもオバマ大統領の遺産(レジェンド)を作ろうと、アメリカ政府は、これまでの高い次元の21世紀型新貿易協定と銘打ったTPPの実現は諦めて、同じTPPの御旗の下で、実質的にアメリカに利益が生じる二国間交渉の集合体の成立を目指していると考えられる。
そのためには、農業分野でこれ以上の譲歩を避けたい日本、国営企業問題で 妥協できないマレーシア、労働分野で課題を抱えるベトナムなどに、それぞれに何らかの「プチ聖域」を認めた上で、少なくとも形式的TPP合意を作り出すことにUSTRも必死のようである。
しかしながら、現在、アメリカ国内の政治状況がTPP合意形成の最大の障害となりつつある。特にこの2週間ほどは、アメリカ議会のオバマ大統領へのTPA(貿易促進権限)付与の是非をめぐって、激しい批判が上下院、そして民主・共和両党の議員から巻き起こっている。その中心課題が添付資料に見られるように、参加国の通貨操作(より具体的に言えば日本の円安操作)が最大の焦点で、すでにこの問題に触れているTPA法案よりさらに一 歩進めて明確な禁止条項を求めるべきだという意見、さらにはTPP協定自体にこの通貨禁止条項を明記すべきだとの主張が展開されている。その内容 も、日本からの輸入品に特別課徴金を貸したり、関税引き上げ、さらには円安を狙い撃ちしたアメリカの通貨政策など、これまでの貿易の常識を逸脱したものとなっている。
これに対して、USTRフロマン代表およびオバマ大統領も否定的で、そんな主張をすればアメリカ自体の通貨政策が批判されかねないため、これまで公式にはTPP協議の中で取り上げられてこなかった。さらに日本においては、一種の報道統制が行われ、アメリカ議会で日本の通貨操作禁止が要求されていることすら十分に報道されておらず、産業界も認識していない。
しかしながら、オバマ政権に残された合意形成までのタイムスケジュールを考えると、この二月の期間にこの通貨操作条項問題は表面化してくると考 えられるので、関係各位に置かれては厳重警戒が肝心である。」