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 2016年10月31日、TPP交渉差止・違憲訴訟の会はニュージーランドのオークランド大学教授ジェーン・ケルシー氏を緊急に招き、講演会を開催しました。

 TPPと似たような貿易協定に対して、世界は背を向け始めています。ケルシー教授は、皮肉にも、TPP協定を履行しようがしまいが、アメリカは勝ってしまうと指摘しました。サーティフィケーション(認証手続き)を通じた相手国の法律書き換えなど、問題は現状だけでは済まされません。日本がこのまま批准すれば、アメリカはただで恩恵を享受できることになってしまいます。世界の潮目は変わりつつあるのです。TPPへの反対は、TiSAなど同種の協定への反対の一角を成しています。民主主義を市民の手に取り戻さなくてはなりません。

TPP協定を履行することが意味をなさない理由

オークランド大学教授 ジェーン・ケルシー

TPPと似たような貿易協定に対して、世界は背を向け始めた

 今日は5つの大きな問題———

1.世界中でTPPに似た協定に反対する揺れ戻しが起きている背景に何があるのか。
2.TPPの参加国に何が起きているのか。
3.どの国にとってもTPPを履行すべきではない理由は何なのか。
4.なぜ日本とニュージーランドは法案を強行に通そうとしているのか。
5.この間違いを犯すことが、私たち市民や民主主義に何をもたらすのか。

についてお話ししたいと思います。

 私たちは、目の前にあるTPPにずっと注目しているわけですが、より国際的な視野から見る必要があります。というものも、この種の協定が、世界中の国民の間で不人気になって、実現が難しくなっているなか、なぜ国の政府が実行しようと一生懸命なのかということは、国際的な視野から見た時に見えてくるからです。

 アメリカの大統領選挙で、初めて主要な協定が争点になっています。これは、北米自由貿易協定(NAFTA)がもたらしたのは、一般市民が多くを失い、企業側だけが多くを得るだけだったということを、人々が目の当たりにしたからです。「もう十分だ」と国民は言っているのです。

 ヒラリー・クリントンも本心はTPPをやりたかったのでしょう。でも、バーニー・サンダースが大統領予備選で善戦し、それをさせない方向に押したということは、いかに市民の声が大きな力を持っていたのかということを示しています。トランプ氏を支える人々は、共和党であり、労働者階級の一般の人々です。彼らは失って、失って、失うということを繰り返してきたなかで、いま何らかの希望を求めているということを、クリントン氏も同じように感じていることでしょう。(編注:11月8日、米大統領選の投開票でトランプ氏が勝利した)

TPPへの反対は、TiSAなど同種の協定への反対の一角にある

 ヨーロッパでも全く同じことが起きています。スペインやギリシャなどで起きた経済危機が一番大きな影響を与えたのは一般の国民です。そのことが、この種の協定への反動的な反応が市民の間に出ている原因だと私は考えています。欧州議会の参加国の多くが、こうした不均衡な取引をするような協定を協議すること自体がよくないとはっきり述べています。そのために、EUと米国の間の環大西洋貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)も行き詰まって頓挫しているのです。同じように秘密に協議されてきたカナダEU包括的経済貿易協定(CETA)も、同じ状況になっています。カナダとEUの間の協議では、当事者の1か国の問題で審議がブロックされたということで、カナダで裁判所に憲法上の問題が提起されています。

 イギリスでは、EUからの離脱「Brexit」が起きました。他の2国間の協定でも、 ISDSの問題によって、南アフリカ、インド、インドネシアなどの途上国が撤退しています。ISDSというアイデアを何とか残そうという努力がなされ、EUは投資裁判所を作るという提案しましたが、そのこと自体が憲法上の問題を指摘され、違憲ではないかと提訴されています。そのほかに秘密で協議が進められてきた新サービス貿易協定(TiSA)も、EUとEU議会がアメリカの要求に応じ続けることに対して大きく抵抗しています。

 これら他の協定の状況を理解することで、なぜ各国の政府や企業がTPPを必死に通そうとしているのかがわかります。彼らが考えてきたフレームワークそのものが壊れてきているからこそ、必死になって通そうとしているのです。各協定の協議の席では、どれか1つでも通るものはないかと、同じような問題を持ち出してきています。つまり、TPPを止めようという動きは、大きく見れば、一連の協定に対抗する一角にあると言うことができます。そして気付いておくべきなのは、一般の市民が勝ちつつあるということです。

TPPについての経済的な分析は信頼性がなく、もはや思想的対立に過ぎない

 TPPについてどんな議論がなされているか注目し続けてきたみなさんは、どれも経済的な主張ばかりだということに気づいているでしょう。この協定の現実が見えている人たちは、これが自由貿易などというレトリックをもはや受け入れなくなっています。TPPを推進するために使われてきた経済的な調査・試算などの研究が、いかに信頼性がないかということも明らかです。

 その他の研究の中身を見てみても、大きな数字の間違いがあるのみならず、TPPによって雇用が失われ、不平等が拡大するというのが現実です。例えばオーストラリアの官僚が作成した研究報告書でも、オーストラリア経済に何もいいことがないという数字しか出てきていません。オーストラリアの事業者さえ、そのことに気づいているという状況です。その数字が仮に正しいとしても、その試算には、医薬品の値段の問題や、ISDSが与える影響、消費者の権利、環境に与える影響については含まれていないのです。

 ですから、これを進める理由はないわけです。どういう主張をすることによってTPPをアピールするのかといえば、もしTPPに賛成票を投じなければ、アメリカがリーダーシップや信頼性を失うことになるのだ、という議論になっています。オバマ大統領自身も「21世紀のルールを作るのはアメリカであるべき。そうでなければ、中国がそのルール作ることになる」と言っています。TPPをやることを正当化する理由は、アメリカの帝国主義や資本主義を残すためのものだということになっています。

 そのようなメッセージをオバマ氏がアメリカ国内で国民に伝えるためのチアリーダー(応援団)の役割を担っているのが、日本とニュージーランドです。アメリカの議会で主張されているのは、議会を通さなければ、アメリカはリーダーシップを譲ってしまうことになり、もしそうなれば、アメリカは言ったことをやらない国だから真剣に議論しなくなるだろう、ということです。これが、アメリカがその立場を失わないために、毒のある条約を現実にするための充分な理由になるわけです。

TPP協定を履行しようがしまいが、アメリカは勝ってしまう

 皮肉なのは、TPPが実現しようが実現しまいが、アメリカにとっては勝ちだということです。もしTPPを実行するための法案が各国で通ったとしても、アメリカで通らなければ、アメリカは無料で他国の法律の改変を勝ち取れることになります。ニュージーランド議会は来週にも採決という状況にあり(編注:11月15日、ニュージーランド議会はTPP関連法を可決した)、国内の医療制度などをTPPに合わせて変えつつあります。アメリカが実施するのかもわからないのに、なぜ変える必要があるのかということを私たちは声をあげています。日本も全く同じ疑問が出るのではないでしょうか。

 もしそうなれば、どういうことになるのでようか。理論的には、全ての協定当事国が国内の手続きを完了したと言ってから60日で発効するわけですが、それは協定が署名されてから2年は恐らく実現しないでしょう。というのも、最初の2年で、なすべきことがあまりに多いからです。そうすると、GDP85%以上の6か国の当事国が国内手続きを完了したと通知してから60日で発効することになります。それは、日米が必ず当事国に入っていなければならないことを意味します。

自国の議決の前に、他国がTPPを履行することを求める米議会

 アメリカは自国内の法案を議会で通すだけでなく、アメリカから見て他の当時国がそれぞれなすべきことを十分にやったということを承認する手続きも必要です。それがなければ、他国の法的な変更も含めて、アメリカにとって十分に満足するだけの国内手続きを済ませたという承認も必要になります。

 米議会は、自国の議会を通過させる前に、他国がそれぞれの国の法案手続きを完了させることを求めています。ところが、ニュージーランド、日本以外の国は、アメリカの政治状況がどうなるかを見極めてからでないと国内法を通さないと言っています。

 例えばベトナムは、10月末には採決すると言われていましたが、アメリカの情勢がわかってからということで、審議を来年まで遅らせることになりました。オーストラリアでは、上院が来年まで採決しないということになりました。カナダは法案自体議会に上程されていませんので、来年まで採決はないということがはっきりしています。ペルーは法案自体は議会に提出されましたが、非常に大きな反対運動があり、暴動のようになっているため、国がナーバスな状況になっています。メキシコでは、法案は議会に提出されたようですが、アメリカの選挙が終わるまでは採決しないということになっています。チリは、議会がTPPにかなり乗り気ではなく躊躇しています。2017年は選挙年なので、それまでは採決はないと言えます。

 ですから、この協定の参加国の過半数は米大統領選、政治の動向が見極められるまで、先に進まないという方向にあるわけです。残りのシンガポール、ブルネイ、マレーシア、日本、ニュージーランドは、なぜアメリカの状況がどうなるか見極めようと考えるだけの感性がないのでしょうか。

ファストトラックで一度だけ議決が可能だが、重要な障害が残っている

 アメリカの先行きは全く不透明です。大統領候補は二人とも、このいまの協定の中身に反対しています。クリントンは、恐らくこの協定の一部について再協議する方向に行くと思います。そうすると、なぜ再協議するかもしれないものを、いま実施しなければならないのでしょうか。トランプはいまの協定自体を破棄すると明言しています。ならば、なぜそれをいま承認しなければならないのでしょうか。次の大統領が就任までのレームダック期間に、何とかTPPが議会を通過するいくらかの可能性があると見ているのでしょう(編注:11月11日、米ウォールストリートジャーナル紙などは、オバマ政権はレームダック会期でのTPP議会承認を断念したと報じた)。

 その一つの手法として、ファストトラック法の下では、この協定をバラバラにしてその一部を審議するということではなく、一括して一回だけ議決が可能になります。つまり、YESかNOかの1回しか投票することはできません。そのリスクをとっても、その方向に行くのではないでしょうか。というのは、そうしなければ、大統領が変わってから2年ぐらい経ってからでないと次の採決はないだろうと思いますので、いまの現政権でリスクをとってもワンチャンスだけの投票で採決を試みる選択肢しかないからです。

 もしオバマ大統領がギリギリでもTPPを議会で承認させるだけの十分な票を得ようとすると、いくつかの重要な障害があります。いま米高官は、TPP参加国の各国に行って、どのようにこの協定内容を実施するのかということや、米議会を納得させるためには何が必要なのかということを説得して回っています。つまり、アメリカ合衆国の高官たちが、私たちの国の政府に対して、私たちの法律をどんな風に作って、どう実施するのかということに口を出してきているというわけです。

 この先の数週間の間に、何とかTPPを承認させるためにはいくつかの障害があります。

1.金融データを在外(オフショア)に持つ権利
2.バイオ医薬品のデータ保護期間のさらなる延長(マーケティング上の独占を意味)
3.タバコ産業のISDS条項からの適用除外(※本日の講演では省略)

障害1:金融データを在外(オフショア)に持つ権利

 この1つ目の障害は、みなさんはあまり聞いたことがない問題点でしょう。なぜなら、TPPの条文にはこの問題についての条項が入っていないからです。追加的なルールをTPPに参加している他の国が認めなければ、米議会は「賛成しない」とオバマ大統領に言っているのです。

 例えば、ウォールストリートの大手銀行が、日本やニュージーランドが金融機関に対して、その企業が持っているデータを国内に留めないといけないと規定しているルールを外し、世界のどこにでもそのデータを置くことを許すようにすることを要求しています。いま、みなさんの銀行口座の情報は、日本国内に置いておかなければいけません。もしこれがクラウド上に保存していいということになれば、アメリカ合衆国内にあるサーバーに保存されるということになります。アメリカはプライバシー保護の法律が非常に弱く、個人の情報を侵害してでも、国家の安全を守るという方針が強い国です。また情報を売ることでお金になるという国です。そこにみなさんの情報が置かれるということになってしまいます。ウォールストリートはこれを要求しています。

 しかしアメリカの通商代表部(USTR)は、TPPの中にある文言は変えられないと言うしかありません。そこで彼らは、TPPに参加している各国に、別の協定、つまり新サービス協定(TiSA)でこれを認めさせると言っています。TPPに入っている国、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナムといった国は、そちらの国に入っていなければ、サイドレターという別の文書に署名するようになっています。

 ところが、私たちにとってはいいニュースなのは、EUはTiSAの交渉で、これについてNOと言っています。TiSAがそういう状況にあるということは、どうやらこの主要課題が来年までに解決することはないということです。レームダック期間に採決がなされることを防ぐためにも、この非常にいいニュースを日本でも声を大にして取り上げ、TPP法案の通過を阻止する必要があります。

障害2:バイオ医薬品のデータ保護期間のさらなる延長

 アメリカでこの先1か月から6週間の間に議会を通そうとするのに障害となる2つ目の問題は、「バイオ医薬品(生化学製剤)のデータ保護期間(独占権)」の問題です。これは、巨大な製薬企業が、いかに自分たちがガンや糖尿病から命を救う新しい薬を支配できるかということを示しています。TPPの協議のなかで、一番最後に合意されたのがこの分野でした。

 この問題では、バイオ医薬品のデータ保護期間を8年、または5年プラス8年に相当する手続き期間とする、ということになっています。アメリカの上院で重要な立場を占めるTPP賛成派のオリン・ハッチ議員は、大きな製薬会社から資金を得ており、8年ではなく、絶対に12年でなければならないと強く主張しています。現在のTPPの条文はそうなっていません。条文を変えずにそれは実現するためにはどうすればいいのか、ということです。

 ハッチ議員は、自分のスタッフを各国に送り込み、実質的に実務上は12年保護することに合意するように働きかけを続けています。TPPの協議の中では、日本は現行の法律で定められた8年を強く主張してきました。この8年が4年延びるということは、バイオ医薬品の価格でいうと何千万、何十億円という金額が、長い年月独占されることになるわけです。ですから、アメリカでの可決を何とか阻止するためにも、今後の4~6週間の間に日本は12年を絶対に受け入れないという明確なメッセージを伝える必要があります。

サーティフィケーション(認証手続き)を通じて、相手国の法律を書き換える

 万が一、米議会がTPPを次の政権になる前に通してしまった場合のことを考えてみましょう。それは、つまり合意されたTPP協定以上の内容に、私たちが譲歩した場合のことを意味します。譲るということはそれに留まりません。次の議会で、さらに私たちに対して、もっと多くを譲らせることができるステップが待っています。

 先ほど、アメリカも日本も、両方が国内手続きを完了しないと発効しないと言いました。これはつまり、アメリカにとって日本がなすべきことを十分にやったということを認証して初めて、日本が国内手続きを完了したということになるわけです(サーティフィケーション:認証手続き)。つまり、日本が自らの目で見て、協定で要求されたことを満足したというのではなく、アメリカの視点で見て、日本が十分に行うべきことをやったかどうかということで、手続きが完了したかどうかが判断されます。

 いま日本の国会で審議されている法案を見てみたいと思います。例えば、「著作権を50年から70年に延長する、但し例外として教育関係のものは除く」となっています。この日本で間もなく可決しようとしているのと全く同じものが、オーストラリアの議会でも通りました。ところが、アメリカは「この例外は認められない。例外を外さなければ、国内手続きが十分とは言えない」と要求し、再び法律の変更が必要となりました。オーストラリア議会は、法律の再変更を急ぎ、3時間の準備という大慌てでやりましたが、急ぐ必要はありませんでした。なぜなら、政府はアメリカの要求に合意した後であったからです。

 これは議会を通過しなければならないものだから明るみに出たのであって、他の変更は目に見えないものがある可能性があります。例えば、医薬品の買い入れ手続きなどがあります。これは規制や手続きの変更ということで済まされますので、それがアメリカの要求によってなされている可能性があります。

 私が非常に心配しているのは、アメリカ連邦議会の議員たちは、TPP法案を議会で通すためにも、アメリカがよりサーティフィケーション(認証手続き)で大きな影響力が欲しいということを求めていることです。ということは、法律の変更だけではないということです。この協定が実際に実効力を持って実施されるまでには、他にも多くのことを譲らなければならなくなるものが出てくるということです。

 みなさんは、すでに高い代償を払わされている可能性があります。どのようなことを日本政府が要求されているかが見えていないからです。私たちが見えている法律に、全てが反映されているわけではないのです。

日本は食品安全法、郵政、健康保険、共済をターゲットにされている

 加えて懸念するのは、日本の主権が制約されるということです。これはTPPのルールそのものというよりも、外国の政府や企業が、みなさんの将来や法律について、モノが言えるようになるということです。毎年、アメリカの通商代表部(USTR)が、各国に対して通商に関する要求事項を発表しています。私は日本について書かれた部分について読んでみました。これは、この先数年の間に、米通商代表部が特に目を光らせて監視していく項目です。

 そこに書かれているのは、食品安全法、進行中の郵政民営化、健康保険の調達関係の問題、共済、そしてもちろん農業も入っています。今回問題になっているTPP協定が実行されていくなかで、毎年毎年、委員会や報告書でいろいろな要求が出てくるでしょう。紛争が起これば解決しなければならないということが決められているわけですから、今後、日本はアメリカからもっとやらなければいけない、もっとしなければいけない、という圧力が継続していくということを意味しています。

日本がこのまま批准すれば、アメリカはただで恩恵を享受できる

 この先6週間の間に起きることが、TPPを大きく左右します。アメリカ議会がTPPを承認するのを何とか止めるためにも、TPPに書いてあること以上のことは確約していないということを明らかにしていかなければなりません。特に、バイオ医薬品、金融データの問題などです。また他国がアメリカの動向を見極めるまで承認しないと言っている状況も明らかにして、声を上げていく必要があります。

 TPPが現実のものにならない場合もあり得ますが、すでに政府はTPPに合わせた変更を始めています。もしTPPが現実のものにならなかったとしても、それを元に戻すとは思えません。そうすることで、アメリカは、ただでその恩恵を享受することになるわけです。次の世紀に向けてアメリカ合衆国のルールが世界のルールになるのだ、アメリカがリーダーシップを担い続けるのだと言い続けることは、これを推し進めることを正当化する理由にはならないということ明確にしていくべきです。

 ニュージーランドや日本の政府が変更を推し進めているのは、国内のアジェンダのために行っているのだと思います。TPPがあるからやらなければいけないのだというのことを隠れ蓑にして、民主主義的手続きを経ずに進めようとしているのだと思います。だからこそ、アメリカの状況に関わらずそれを推進しているのではないでしょうか。いまそのことをはっきりさせて、民主主義を私たちの手に戻すべきですし、外国の企業の陰に隠れて何かをさせるのではなく、本当に必要なことであれば、民主主義の手続きを経てきちんとやるべきだということを声に大にすべきです。

世界の潮目は変わりつつある。民主主義を市民の手に取り戻そう

 大事なことは、これはTPPに反対するだけの運動ではないということです。世界の色々な協定があたかもチェスのゲームのように組み合わせれて、この現状が起きているということを念頭におく必要があります。多数の協定の中に、同じような毒があちこちに埋め込まれ、やりとりされているわけです。ですから、単にTPPに反対するだけでなく、TiSAにも反対していく必要があります。この種の協定に関する世界的な潮目は変わりつつあるわけです。この変わってきている潮の流れを、続けさせることが私たちの大事な役割です。私たちが自分の将来を他国の人や他国の企業や政府に決められるのではなく、私たちが国民、市民の手で決められる力を取り戻さなくてはなりません。