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 6月28日、「種子法廃止・違憲確認訴訟」第4回口頭弁論が東京地裁大法廷で行われました。「よかった」「いい流れになりそうだ」との感想が、直後の報告集会で語られました。「時間とって審議しますよ」、「みなさんの訴えに向き合いますよ」という裁判官の姿勢を感じることができた口頭弁論でした。

 今後の期日も二つ、設定されました。次回(第5回)は10月15日(金)午前11時から。次々回(第6回)は2022年1月13日(木)午後4時から、です。

舘野廣幸さんの原告陳述

 第4回口頭弁論は、初めに原告舘野廣幸さんから意見陳述で始まりました。舘野さんは栃木県で「舘野かえる農場」を経営し、稲作を主とする有機農業を営む専業農家の方です。自らの農場の労働力について、「田畑に住む生き物たちの無償の働きで賄っています」と紹介。

 種子法廃止によってこれまで安定した種子を入手出来なくなるとの不安を訴え、「国家が保障し確保供給しなければ、誰が国民の生命を守るのか」と指摘。そして、種子法廃止以前は水稲の原種価格が1キロ465円だったものが3倍以上に高騰している事実を示し、国が国民の生存と生活の保障を放棄している事実を厳しく裁判官に訴えました。

追加した私たちの主張

 弁護団の田井勝さん、岩月浩二さん、平岡秀夫さん、山田正彦さん各弁護士から、これまでの主張に追加して、種子法廃止前後にも更なる権利侵害が続いている事実を詳細に述べました。(6月21日提出の『第3準備書面』参照)

 まず、種子法廃止一年前の2017年5月、農業競争力強化支援法が制定。これにより、種子等の知見を民間事業者へ提供することが可能となりました。そして2018年4月の種子法廃止により、それまで都道府県が原種・原原種の生産並びに奨励品種決定などの法的根拠がなくなりました。都道府県の農業試験場などの予算・人員の不足や価格の高騰など、具体的被害が起きはじめました。さらに昨年(2021年)12月、種苗法が”改正”され、登録品種の自家増殖・自家採種が禁止になりました。

 このように、種子法廃止前後の一連の動きで日本の一般農家の経営は成り立たなくなり、農業生産物の提供を受ける消費者の「食料への権利」を侵害するものであることを主張しました。「農業競争力強化支援法」「種子法廃止」「種苗法改正」が合わさることによって、危険性が増していることを明らかにしました。

今後の進め方

 次回は10月15日(金)です。先日6月21日に私たちが提出した「原告第3準備書面」に対してだけでなく、「原告第1準備書面」と「原告第2準備書面」に対してもこれまで反論されていない箇所については、裁判官からの検討指示もあって、被告国から反論が出ることが期待されます。次回期日では、被告国が行うであろう反論に対して、私たちが再反論することを主張します。

 また被告国も、同日、準備書面(2)を出しています。原告が主張している権利は具体的な権利として保障されていないこと、審議過程に瑕疵があると原告は主張するがそれが種子法廃止違憲となるものでないこと、などと述べています。そして訴えはいずれも不適法なのですみやかに却下・棄却されるべき、としています。これに対して私たちは、次回(第5回)期日で反論します。

 さらに、私たちの主張内容を裏付ける法律学者の意見書提出、主要農作物の状況をまとめたDVDの法廷での上映とその証拠提出、原告本人および証人の証拠調べ申請など、準備検討していく予定です。(文責:池住義憲)

裁判資料