TPP阻止国民会議より、TPPアトランタ閣僚会合報告会のご案内です。閣僚会合出発前のTPP阻止国民会議の事務局長コメントと併せてお知らせいたします。

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平成27年9月29日

関係各位

TPP阻止国民会議
代表世話人 原中 勝征
TPPを慎重に考える会
会 長   篠原 孝

TPPアトランタ閣僚会合報告会のご案内

日頃の活動に格別の御理解、御協力を賜り心より御礼申し上げます。

さて、TPP閣僚会合が明日からアトランタで開かれ、交渉全体の大筋合意を目指し大きな山場を迎えます。民主党からは、今回の閣僚会合にあわせて佐々木議員、福島議員、玉木議員、徳永議員の4名が派遣されますが、TPP阻止国民会議は、山田副代表世話人、首藤事務局長が出張し民主党議員と連携を図りながら国際NGOなどと諸行動に取り組むこととしています。

つきましては、下記の通り報告会を開催しますので、大変お忙しい中恐縮ですがご出席頂きますようご案内申し上げます。

1.日時 10月 8日(木) 15:00~17:00

2.会場 衆議院第二議員会館 第一会議室

3.内容 TPPアトランタ閣僚会合出張報告

※御出席の可否をFAXにて御連絡賜ります様お願い申し上げます。

TPP阻止国民会議 事務局
TEL: 03-5211-6880
FAX返信先: 03-5211-6886

▼TPPアトランタ閣僚会合報告会出席申込書

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“龍頭蛇尾に終わるかTPP?”
―アタランタ(最終?)閣僚会合監視に出発の前に―

2015年9月29日
TPP阻止国民会議事務局長
首藤信彦(すとうのぶひこ)

主席交渉官会合に続いて9月30日より10月1日まで「風と共に去りぬ」で有名なアタランタでTPP閣僚会合が行われる。菅官房長官が「不退転の決意」で大筋合意を目指すと記者会見で述べているが、それは実は、オバマ政権下ではTPPは成立しないと言っているに等しい。甘利担当大臣は出発直前のインタビューでは「大筋合意に導くべく...」とさらに後退した。

大筋合意(braod agreement)程度では、TPP協定案までさらにこれから最低でも半年かけて協定文策定に必要な完全合意をめざして一層の努力を傾注することになろう。

しいて今回目論むとしたら完全合意(今回ではまったく不可能)だが、万一天佑があってそれが成立したとしても、TPAの90日ルール規定では大統領は来年にならないとTPP成文協定にサインすることができない。しかし常識的には、すでに活況にはいっている次期大統領選挙の最中にこんな欠点だらけの協定を公開できるはずがない。

小国のうちには閣僚を送らないところがある。シンガポールやブルネイだ。ニュージーランドは酪農製品交渉が進展しなければ閣僚は出席しないと、アメリカを牽制している。それはアメリカにとっては極めて痛い。なぜなら、ニュージーランドに門戸を広げるとしたら、その分、アメリカは自国の酪農産業の圧力を受けて、カナダの門戸をこじ開けなければならないからだ。一時、カナダのハーパー首相がそうした可能性を示唆したとニュースが駆け回ったが、カナダ政府は即座に否定して火消しに躍起だ。10月19日の選挙で劣勢が伝えられるハーパー首相が10月1日に国民を怒らせるような自暴自棄な行動にでるとは信じがたいところだ。

カナダには、自動車・部品原産地基準問題でも大幅譲歩してもらわないと閣僚会合は進展しない。自動車原産地問題はメキシコがいちゃもんを突けたと報道されるが、実際の主役はカナダで、そしてまたその裏にはアメリカ自動車労組がいる。何より、カナダにとってはNAFTAの目的を守るという大義名分がある。ここでアメリカが日本に譲るというなら、NAFTAの再交渉にも力が入る。

生物薬剤をめぐるIP問題、自動車原産地、酪農問題の三分野が大きな障害で、それさえ妥結できればTPP合意が成立するというのは、日米関係者の腹だろうが、すくなくともその合意が協定文として結実し、アメリカ議会に提示されるためには、これまで公式には議論されていなかった、通貨操作、環境、人権、民族、イスラム法問題などの、深刻で激しい対立を生むイシューの障害が待ち構えている。

それでは今回のアタランタ会議の目的は何か?それは要するに「蛇の尾」を創ることである。TPP交渉はこのままでは、アメリカ大統領選のカオスに巻き込まれて一切進まなくなるが、それ以上に苦境に立たされるのは、「TPPが当然、成立すると目論んで、つぎつぎと手を打ってきた国や業界」である。日米二国間協議はTPPに組み込まれることが前提で、そのTPPが宙に浮いてしまえば、二国間協議の結論自体も消滅する。そこで、両国政府と特定の産業は、どんなに中身のないTPPでも、ともかく頭と尻尾だけそろえて、TPPは仮想ではなく、必ず成立すると言い続けて、その間に自分たちの利益を確定しなければならないのである。

今回のTPP閣僚会合はあきらかに、日本が誘導してきた。日本での臨時国会、予算編成時期そして来年の参議院選挙を踏まえたぎりぎりのスケジュールが9月末のこの時期であり、アメリカとしてはむしろ国連総会、ローマ教皇、習近平国賓訪問の集中するこの時期は避けたかったろう。

その日本がTPP閣僚会合に持ち込む提案を、それぞれ複雑な利害相関関係を抱えた各国がすんなり認めるのか、あるいはまたハワイ会合で突発したようにメキシコのような伏兵が登場して会合を流すか、その結論は二日後に出て、各国閣僚は風と共に(gone with the wind)アタランタを去っていく。

私は民主党政権時代そして落選後もTPP問題を実に5年間監視し、また安易にTPP参加を選択する政府とは闘ってきた。今回「最後の閣僚会議」と安倍首相が言明するので、およそ最終会合になり得ないアタランタ会議でどのような結論を導きだすのか、監視に赴く予定である。

TPPはアタランタ会合で龍頭蛇尾に終わっても、形式的な合意で手打ちしても、あるいは空中分解しても、それで終わるわけではない。グローバル化した貿易の新ルールというTPP構想を生み出したニーズは不変であり、そこにおいて衰退するパワーを維持したいというアメリカの強烈な意思も健在である。

はたしてアメリカはTPPver.2を持ち出すのか、TiSA(サービス貿易)協定を先行させるのか、中国を含めたRCEP構想に接近するのか、それに対して各国とその市民社会はどう対応すべきか、それらはすべて今回のアタランタ会議の「終わり方」にかかってくる。そうしたPost Atlantaの動向も、今回の監視で、各国NGOとよく話し合ってきたい。