7月28日時点、最終閣僚会議を前にTPP阻止国民会議から出されたコメントを掲載いたします。

TPP「最終」閣僚会議を前に

TPP阻止国民会議コメント(7月28日)

TPP阻止国民会議事務局長 首藤信彦

1.TPP大筋合意を目指して閣僚会合
いよいよ何度も間近と言われた「TPP大筋合意」を目指してTPP閣僚会合がハワイで開催される。「これが最終回」との触れ込みで、現地はメディ アの記者や応援団であふれかえっている。。。とのこと。日本では「合意間近」というようなニュースが多いが、各国メディアそしてアメリカのメディ ア・識者は慎重論がほとんどという不思議な状況。当たり前だが、今回の「最後の」TPP閣僚会議は「TPP最終合意」の調印ではなく、「大筋合 意」を目指している。
添付のパブリックシチズンの分析は、万一今回会談が奇跡的に成功して「最終合意」となった場合でも、すでに今年中の協定調印は困難であることを冷 静にタイムラインを述べたものである。これを見る限り、たとえ今回、最終合意に持ち込めたとしても、すでにタイムアウトに近いことが理解できるで あろう。

2.国務省のマレーシア人権状況評価
マレーシアは昨年の国務省報告報告で、人権・人道上問題のある国Tier3に位置付けられ、貿易協定どころか、制裁対象となっていた。このままで はマレーシアとの協定は結べないところから、6月発表予定の国務省報告を遅らせ、政策的にマレーシアの状況をTier2に改善した国務省報告が会 議の直前、7月27日(月曜)に発表された。この間、マレーシアではロヒンギャ難民の大量虐殺墓が発掘されるなど、状況改善どころか評価悪化の状 況で、この発表はアメリカ議会の強い反発、それに各国人権人道団体からのオバマ政権非難の嵐となっている。
6月にTPA法案が成立した時点では、追加して「税関法」を成立させ、大統領の特認でマレーシアの交渉参加の道を残す予定であったが、肝心の税関 法の審議入りも予定立たず、やむなく、国務省報告の操作という危険な賭けにでたものだ。
見方によれば、ここまでオバマ大統領はハワイ会議による「合意形成」に賭けていると評価する者もいると思うが、この人権条項操作はアメリカの人権 人道政策自体の信頼性も損なうものであり、アメリカ国内諸団体および議会の反発は強烈なものとなろう。このような状況で、TPP協定が議会を通過 するとは容易に考えられない。この辺から、オバマ大統領はTPP条約の発効より、「TPP合意という外交成果」を目指しているという穿った見方も 出ている。

3.危険な二国間交渉
ハワイ会議ではTPP合意自体、不透明感があるが、そのような状況下でも、日米二国間協議だけは進展し、日本側が農業・自動車などでアメリカに歩 み寄る可能性は強い。見方を変えれば、アメリカ側はそうした即効のある利益:Cash を獲得することに注力しているのではないだろうか。
先日海釣りに行ったとき、カワハギ釣りを見た。目がよく、頭もよく、口の細いカワハギはエサばかりとって、なかなか釣り針に引っかからない。そこ で、エサを上部に仕掛け、それを食べに集まったカワハギを下の針で自然にひっかける工夫だ。瞬間、TPP交渉が頭に浮かんだ。。。。